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第120話 父との再会？
Last Updated:
2025-08-15 20:08:51
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記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 第121話 ノリーンの正体
「夢の中で前世のことを全て思い出したの。自分がどんな人間だったか、どうして死んでしまったのか。そして誰が私の命を狙っているのかもね」「そうか？ それで相手は誰だったんだ？」「その人物は私と同じ、この世界に転生してきた女性やっぱりノリーンだったわ。私もノリーンも全く魔法が使えないのは、もともと魔法なんか存在しない世界から転生したからかもしれない。それにノリーンが何故私を殺したい程憎んでいたのかも理由が分ったわ。前世の因縁からだったのね」夢で見た里美の姿が脳裏に浮かぶ。「そうか……。俺はずっとユリアの夢の中に干渉してきたからノリーンの様子もみてきたが、多分あの女、始めから前世の記憶を持っていた可能性があるぞ」「ええ、恐らくそうでしょうね。だから私の婚約者であるベルナルド王子に手を出したのかもしれない。だって彼女は前世の時から、いつだって私の持っている物を欲しがって奪っていったのだから」「成程……そう言うことか。そうだよな？ 普通に考えれば、ベルナルド王子は王族という身分があっても魅力的な人物には見えないからな」失礼なことを平気で言うセラフィム。「馬鹿よね、前世を思い出すまでの私は……王族と言う身分に憧れて、無理やりベルナルド王子の婚約者にしてもらったのだから」思わず苦笑してしまう。「まあ、確かにそうかもな。だが、これではっきりした。召喚魔法って言うのは魔法が使えなくても、正しい魔法陣と呼び出す為の道具をそろえ、呼び出す為のルーン語を間違いなく唱えられれば召喚出来るんだ」「え？ そうだったの？」「ああ。召喚された者じゃ召喚者の命令は絶対だからな……。ノリーンがお前の命を狙うのを諦めればオルニアスはお前の命を脅かさないだろうし。仮にノリーンの身にもしもの事があれば、この世界にとどまっていられるのは無理だ」セラフィムの言葉に思わずぞっとした。「ねぇ……それってひょっとして……ノリーンが死んだ場合のことを言ってるの…？」「ああ。そうだ。ノリーンが死ねばオルニアスはこの世界に留まることは出来ないからな。それに……いいか？ 今がノリーンに会う一番のチャンスだ。何故ならオルニアスは今ユリアの夢の中に閉じ込められているんだろう？ 奴がこの世界に現れたら、間違いなくノリーンに会うのを妨害してくるだろう」「そうね……」「私、今からノリーンに会いに行くわ。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 第120話 父との再会？
「セラフィム……私、どれくらい眠っていたのかしら？」「……聞いて驚くなよ？ 60日だ」「ふ〜ん……60日……ええええっ！？ ろ、60日！？」慌てて飛び起きようとして、力が入らずベッドに倒れ込んでしまった。「ああ……ほら。無理するからだ。魔法でユリアの体力を維持させていたんだ。もうその魔法は既に切ってあるから今のユリアには体力がほとんど残されていないんだから無理しないほうがいい」「え……？ ひょっとしてセラフィムがずっと私の面倒を見てくれていたの？」「まぁ……そうなるかな？ ユリアがこんなことになってしまったのは油断していた俺の責任でもあるし……」「……ねぇ。これって……もう夢の世界なんかじゃないのよね？」ベッドの中で横たわったまま、セラフィムに尋ねた。「ああ、勿論」「そう……何だか色々な夢を見ていたから何処までが夢か現実か分からないけど……」その時――バンッ！！いきなり扉が開かれ、数人の使用人たちをひきつれた父が現れた。「あ……お父様……」「ユリアッ！」父に続き、背後にいた使用人たちが驚いた声を上げる。「ユリアお嬢様が……」「ついに目を覚まされた！」「奇跡だわ！」「ユリア……目が覚めたのだな？」余程慌てて駆けつけてきたのだろうか？ 父は肩で息を切らせながら大股で部屋にはいってくると尋ねてきた。「はい、お父様……」ベッドに横たわったまま返事をした。「そうか……。良かった……」安堵のため息をつく父を見て私は思った。うん。この人は……紛れもなく私の父だ。夢の世界ではまるきり他人としか感じられなかったけれども、全ての記憶を取り戻した今の私には、はっきり分かる。この人が自分の父親であるということと……以前までの以前までの私は傲慢で我儘な嫌な人間だったということが。「お父様、心配掛けてごめんなさい」私の言葉に父は目を見開いた。「……どうしたのだ？ 今迄そのようなしおらしい口を聞いたことなど無かったのに……」「はい。長い眠りから覚めて、私は生まれ変わったんです」「そ、そうなのか？ よく意味が分からないが……」首を傾げた父は次にセラフィムを見た。「今迄娘を見てくれてありがとう、感謝する」「いえ、当然のことをしたまでですから。それで……彼女と2人だけで話がしたいので席を外していただけないでしょうか？」セラフィムが
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 第119話 長い夢からの目覚め
「え……？」気付けば私は何も無い灰色の空間にしゃがみ込んでいた。辺りはモヤで包まれ、何も見えない。「い、今のは一体何……？ 私は死んだはずじゃ……」無意識に俯いとき、自分の長い髪の毛が目に留まる。その髪色はストロベリーブロンド。今の私の髪の色だ。「思い出したわ……全部……」前世の記憶を全て思い出し、ゆっくりと立ち上がった。辺りは灰色のモヤに包まれて何も見えない。「ここは一体どこかしら？」辺りを見渡していると遠くの方から足音が近づいてくる。何者かがこちらへ向かっているようだ。足音は段々近くなって来ると、ついに私のすぐ傍で止まった。「全て思い出したか……？」モヤの中から声が聞こえる。「ひょっとして……貴方はオルニアス？」「そうだよ。……正解。姿が見えないのに良く分ったな？」「それはそうよ。だってここは私の夢の世界。だから自分で夢を操ることだって出来るもの」「え！？ な、何だ！？ これはっ！！」オルニアスの焦り声が聞こえる。その声と同時に辺りのモヤが一気に消え去り、目の前には大きな牢屋に閉じ込められたオルニアスの姿が現れた。「い、いつの間に……！？ こんな牢屋ぐらい…っ！！」オルニアスは指先から炎を生み出すと鉄格子に向けた。恐らく炎で鉄格子を溶かすつもりなのだろう。しかし……。「う、嘘だろう！ 溶かせないっ！」「当然よ。ここは私の夢の世界。そして、貴方は所詮私の夢の中に入り込んだお客様。私の見ている夢なのだから、自由に夢を操れるのは当然でしょう？」「馬鹿な……！ 俺が夢を操れないなんて……！」オルニアスは鉄格子を握りしめながら悔しそうに私を睨み付ける。「色々貴方には言いたいことがあるけれど……とりあえず逃げさせてもらうわ。早く目覚めないと私、死んでしまうみたいだから！ それじゃあね！」私はそれだけ言うと駆けだした。何所へ行けばいいのかなんて分らなかったけど、ここは私の夢の中。きっと願えば何だって叶うはず。「お願い！ 私！ 早く目が覚めてよー！！」必死で走りながら宙を見て叫んだ。すると、頭の中でセラフィムの声が聞こえてきた。『そうだ！ ユリアッ！ こっちへ向かって走って来い！』「セラフィムッ！！」私は必死で走り続け……やがて眩しい光に包まれた――＊＊＊＊「ハッ！」気付けばベッドの上だった。「目が覚めたのか！
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 第118話 蘇る前世の記憶
「……」私は黙って里美を見た。彼女の目は怒りに満ちている。その時にふと思った。あれ……？ あの瞳……何処かで見た気がする……？けれどそれが何所だったのか、さっぱり思い出せない。何かとても重要なことだったはずなのに、何故か少しも思い出せない。それどころかさっきまで私と一緒にいた人物の顔も名前も今となっては思い出すことが出来ずにいた。里美はずかずかと近付いてくると私の眼前でピタリと止まった。「何所へ行こうって言うのよ。新しい恋人のところかしら？」「は？ 圭介と別れたばかりなのに新しい恋人なんかいるはずないでしょう？ 何よ……こんなところまで追いかけて来て。早く圭介の所に戻ったら？ 大切な恋人なんでしょう？」「別れたって言うのなら……圭介なんて気安く呼ばないでよ！」里美はヒステリックに叫ぶ。……かなり情緒不安定なのかもしれない。「分ったわ……ごめんなさい。圭介さんの所へ戻ったら？」「な、何よ……人のこと馬鹿にして！ 美咲はいっつもそうよ！ 勉強も運動も……なんでもそつなくこなして周りからは人気があるし、恋人だってすぐに出来る。それなのに……私は……あんたが近くにいるだけで、私がどれだけ劣等感にさいなまされているか分る！？」「な……」あまりにも勝手な言い分に呆れて言葉がすぐに出てこなかった。「いっつもいっつもあんたの周りには人が集まって……だから悔しかったらあんたの恋人を奪ってきたのに！ すぐに新しい男を作って……本当に嫌な女よ！」里美は恐ろしい目で睨み付けてくる。「何よ……そんなに私が憎いなら、傍に来なければいいでしょう？ それが嫌だって言うなら私から離れるわよ」背を向けて歩き出すと、里美が叫んだ。「待ちなさいよ！」里美が後を追って来た。冗談じゃない、今の里美は普通じゃない。早く逃げてやり過ごさなければ……！誰が待つものですかっ！私は急いで駆けだした。すると当然の様に里美は後を追ってくる。夜の町を女2人の追いかけっこが始まった。逃げながら私は心の中で舌打ちした。圭介の奴……一体何やってるのよ！恋人なら里美を追いかけるべきなのに、それすらしない。そう言えば……私から里美に乗り換えていった恋人達の中では何人か復縁を迫ってきたことがあったけど、ひょっとすると里美に飽きてしまったのだろうか？そんなことを考えている内に横断歩道へ差し
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 第117話 前世の悪友と元カレ登場
「里美……それに……」立っていたのは小学生の頃からの友人だった里見だ。そして彼女の隣には気まずそうな様子で立っている元彼の圭介。「あら～凄い偶然ね。たまたま店の前を通りかかったら美咲の姿が目に留まったから声をかけようと思って来たのよ。ね、圭介？」「……あ、ああ。そうなんだ……」圭介は私と視線を合わせようとしない。それはそうだろう。私と5年も付き合った挙句に、彼はよりにもよって私にとって因縁の悪友ともいえる里美と深い関係になった挙句、別れを告げてきたのだから。その理由は……。「里美、いいの？ ふらふら出歩いたりして、お腹の子に障らない？」そしてチラリと圭介を見た。そう、私と圭介が別れた理由は里美が圭介の子供を妊娠したからだった。私は今までずっと恋人を里美に盗られてきた。始めは何度も里美を怒ったし、恋人のことも詰って来たけれども、里美は懲りることは無かった。私に好きな人が出来る度、人の恋人を奪っておきながら、あっさり捨てて今度は新しくできた私の恋人を奪ってきた。だからもうそう言うものだと諦めていた。けれど……圭介だけは違うと思っていた。5年も付き合っていたのに結局振られてしまった。その理由が里美の妊娠だと言うのだから洒落にならない。「あら？ 子供の心配してくれるの？ ありがとう。さすがは美咲ね。だけどこんなところで１人で珈琲なんて飲んでいたの？」勝ち誇った言い方がどことなく嫌だった。「いいえ、さっきまで男の人と一緒だったの。彼は先に帰ってしまったけどね」「え？ そうなの？ ひょっとして新しい恋人！？」いつもの様に目の色が変わる里美。「お、おい……里美……もう行こう」余程ばつが悪いのか、圭介は里美の腕を引く。「いいじゃない。折角久しぶりに美咲に会えたんだから３人で珈琲でも飲みましょうよ」「里美……妊婦にカフェインは良くないんじゃないの？」「え！？」何故かギクリとした態度を取る里美。「まぁ、この店にはノンカフェインの飲み物があるかもしれないから、それを飲んだら？ 私はもう帰るから」そして席を立ち、歩きだそうとした時――「美咲！」突然圭介が腕を掴んできた。「ちょっと！ 何してるのよ！」里美が非難めいた声を上げるも圭介は私の腕を離さない。「何よ。その手を離してよ」「……」「ねぇ。聞こえなかったの？ 里美の前で何してるの
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 第116話 夢の世界に囚われて
「キャアッ！ で……ムゴッ！」 「こら、騒ぐな！」突如現れた青年に私は口を塞がれた。「いいか？ 静かにするんだ？ 分かったか？」思い切り口を塞がれた私はコクコクと無言でうなずく。「よし……分かったならいい」青年は私から手を離すとため息をついた。「あ、貴方……さっきの男の人じゃないの…？」私は青年を見ると尋ねた。「いや、そっくりに見えるかもしれないが別人だよ」青年は隣の席に座ってきた。確かによく見ると着ている服が違う。先程の人物は濃紺のジャケット・スーツにYシャツ姿だったが、今目の前にいる彼はジーンズ姿にデニムジャケット姿だった。中にはパーカーを着ている。「あの……それでどちら様でしょうか？」改めて青年に尋ねる。「参ったな……俺の姿を見てもまだ何も思い出せないのか？ ユリア」「だから、私の名前はそんな外国人的な名前じゃなくて、『紺野美咲』って名前です。ちなみに年齢25歳です」「だから、それは前世のお前だって……。いいか？ 今のお前はユリア・アルフォンス。そして俺はお前の護衛騎士のセラフィムだ。さっきお前を追いかけていたのは命を狙っているオルニアス。お前は催眠暗示で池に落とされ、未だに目が覚めずにいる。ここはお前の前世の世界なんだ。あいつはお前を夢から目覚めさせずにこのまま衰弱死させようとしている」「……」私は黙って話を聞いていたが……。「またまた冗談ばっかり〜。そんな物語みたいな作り話、信じられるはずないでしょう？」「しっかりしろユリアッ！ 前世の記憶を取り戻したら、今度は今世の記憶を失ってしまったのか！？ このまま夢の世界に飲まれて死んでもいいのか！？セラフィムと名乗る青年は私の両肩を掴むと揺さぶった。「本当にここは夢の世界なの……？」「ああ、そうだ。この世界ではユリアは友人も大勢いたし、毎日充実した生活を送っていたんだろう？」「あ……」そう言えばそうだった。仕事は楽しかったし、友人も大勢いた。毎日が充実して楽しかった……はずだけど何かが引っかかる。「だけど、この世界のお前はもう死んでいる。そして生まれ変わったのが今のお前……ユリア・アルフォンスだ」「え……？」その時、私は見た。ガラス窓に映り込む自分の姿を。そこに映るのは今の自分とは似ても似つかない。ストロベリーブロンドの女性だ。「だ、誰……？」声を震わせ
